古代ローマの興隆から衰退までの歴史を、塩野七生さんという一人の作家の視点で楽しめるのが「ローマ人の物語」の面白さだと思いますが、同じ古代ローマをエンタメ作品を通して別の視点で楽しむのも面白いと思います。最近だとヤマザキマリさんの漫画「テルマエ・ロマエ」などが有名ですよね。という訳で、今日は僕がオススメする「「ローマ人の物語」の読書をもっと楽しくなるエンタメ(ドラマ・映画) 3選」をご紹介します。
ドラマ「ROME [ローマ]」(舞台:紀元前49年頃)
アメリカ合衆国のHBOとイギリスのBBCが共同制作したテレビドラマです。HBOと言えば、「ゲーム・オブ・スローンズ」があまりにも有名ですが、実は古代ローマをテーマにしたドラマも作っています。ドラマの舞台は、古代ローマ史上最大の英雄であるカエサルやアウグストゥスが活躍した時代、いわゆる「内乱の一世紀」と言われる時代です。「ローマ人の物語」だと「ユリウス・カエサル ルビコン以降」と「パクス・ロマーナ」あたりで、僕の友人たちが挫折していった箇所でもあります。というのも、「ローマ人の物語」を読み進めていくと、塩野七生さんがカエサルとアウグストゥスをいかに大事に思っているのかが分かるんですけれど、それにしても長いですから、挫折する人が多いのかもしれません。というわけで、挫折しそうになったら、このドラマを観てみるのも手だと思います。このドラマの面白いところは、主人公は古代ローマ軍の兵士2人になっていて、当時の平民たちの視点で古代ローマ世界の様子を楽しめるところだと思います。もちろん歴史上の英雄たちも出てきますので、「ローマ人の物語」とのキャラ比較も楽しいです。
映画「グラディエーター」(舞台:紀元後180年頃)
巨匠リドリースコットが監督を務め、ラッセル・クロウが主演です。アカデミー賞受賞作ですし、古代ローマ系エンタメ(?)の代名詞的な存在だと言っても過言ではないかもしれません。僕も小学生の時に映画館で観たんですけれど、すっかりファンになって何度もDVDを観たものです。よく考えたら、「ローマ人の物語」の本を手に取ったのも本作を観ていたからだと思います。さて、映画の舞台なんですけれど、晩年の五賢帝マルクス・アウレリウスが出ていますので、紀元後180年頃だと思われます。「ローマ人の物語」だと「終わりの始まり」あたりですね。もうタイトルで分かると思うんですけれど、塩野評だとマルクス・アウレリウスの評価は高いものではありません。皆様ご存知のとおり、このひねくれた感じが、塩野ワールドで面白いわけです。逆に言うと、この映画では、世間的には、”哲人皇帝”とか言われて名君なマルクス・アウレリウス像を観ることができます。
映画「アレクサンドリア」(舞台:紀元後400年頃)
主人公はヒュパティアという女性の学者です。実在の人物のようで、舞台はぐっと下って紀元後400年頃のエジプトのアレクサンドリアです。「ローマ人の物語」で言うと最終巻の「ローマ世界の終焉」あたりだと思われます。映画のテーマやストーリーもまさに「ローマ世界の終焉」と言った感じで、古代都市アレクサンドリアを巡る攻防が物語の中心となります。あまり日本だと有名な映画ではないかもしれませんが、「ローマ世界の終焉」まで読んだ人には是非とも観て欲しい映画でもあります。それにしても社会人になってからというもの、興隆期にチャンスを掴んだ人よりも衰退期を耐え忍ぶ人を描いたエンタメが楽しく感じるんですよね。
まとめ。
当たり前なんですが、作家や監督によって古代ローマへの解釈って違うんですよね。「なんで解釈が違うんだろう?」とか思ったりするのが歴史の楽しいところです。
最後まで読んで頂いた方、ありがとうございます。
ゆっくり急げ(アウグストゥス:初代ローマ皇帝)
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